広告 × NPO
毎号、「広告」誌上で博報堂のクリエイターからアイデアを募り、NPOの広告をつくるというシリーズ企画。エントリー企画のなかから、博報堂クリエイティブディレクター宗形英作、「広告」編集長永井一史が、一番すぐれたアイデアを選び、ブラッシュアップ後に本誌表2に掲載しています。
本誌ではスペースの都合で、エントリー企画のうち4作品しか掲載していませんが、ここでは全部をご紹介します。同じブリーフィングを受けても、制作者の考えによってさまざまなアプローチが可能になる広告の面白さを、どうぞお楽しみください。

Brief
北海道アイヌ協会 釧路支部
厳しい北の大地で、長い間、自然と共生し、持続可能な文化を育んできたアイヌ民族。北海道アイヌ協会釧路支部長の秋辺得平さんは、「シカ狩りやクマの霊を送る「イヨマンテ」は、命をいただくことに感謝する伝統行事。アイヌには、口承文学の叙事詩「ユーカラ」や、チセと呼ばれる地熱活用住宅など、すばらしい文化がたくさんあります。こうした文化や、自然と共に慎み深く生きる教えを長老から受け継ぎ、未来に伝えていくのが私たちの使命なのです」とパワフルに語る。近代産業文明が行き詰まるなか、世界的に「先住民文化」の見直しが進んでいる。もはやアイヌの知恵はアイヌ民族だけでなく、これからの未来を考えなければならない私たちみんなにとって大切な知恵なのではないでしょうか。
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Entry No.1
企画/竹内佐織(D)、林翔太(C)
「ずっと、自然と生きている。だから、自然を知っている。」700年以上も自然と共存している共生の歴史を、緑に溶け込んでいるビジュアルで表現しました。
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Entry No.2
企画/竹内佐織(D)、林翔太(C)
地球を救う方法の答えは、「探す」のではなく、知っている人たちから「教わる」ほうがよいと考えました。「search」ボタンを「teach」にアレンジし、「探す」段階から「教わる」段階へ進むことを促すビジュアルにしました。
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Entry No.3
企画/小原大貴(D)、吉兼啓介(C)
「地球に、貯金しよう。」自然との関わりの中で、少しだけ遠慮することが、巡り巡って大きな恵みとなって還ってくるという知恵。この考え方を、身近な行為“貯金”に置き換え表現しました。
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Entry No.4
企画/伊藤裕平(AD)、塩見勝義(C)
「日本に、アイヌデンティティを。」「イクラはひと粒ひと粒食べなさい」という教えを、ご飯の上のいくらを日本の国旗に見立てることで表現しました。
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Entry No.5
企画/富田克人(C)、アボット・マーク(AD)
一枚の「お詫び」の紙は、「アイヌ文化のつつしみぶかさを地球の明日に役立ててほしい」というメッセージを伝えています。小さな「お詫び」の紙によってアイヌの知恵の根底にある「オリパクトゥラ(遠慮とともに)」の考え方を強くメッセージしようと思いました。
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Entry No.6
企画/金そよん(C)、桑原秀平(AD)
「只今、レンタル中。」「自然は人間に与えられたものではなく、人間が一時的に借りているに過ぎない」というアイヌ民族の自然観を、自然と人間が共存するためのヒントとして現代に活かそうという思いを表現しました。
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Entry No.7誌面掲載企画
企画/中村圭(C)、萱島雄太(AD)
「耳はふたつ、口はひとつ。喋るは、聞くの半分でいいんだ。」秋辺さんのオリエンの中から共感し考えさせられた言葉を選び、キャッチコピーにしました。
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Entry No.8
企画/中村圭(C)、萱島雄太(AD)
「競争に勝ちに勝ってる人が、心の豊かさを求めていたりする。」砂漠にのびる人影にアイヌの象徴的な自然(カムイ)の姿を映し出し、心が求める豊かさを表現。二面性のある心象風景を一枚絵の中に表しました。
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Entry No.9誌面掲載企画
企画/大倉誠一(C)、横尾美杉(D)
「46億年つづいた命のリレー」海で育ったシャケが川を上り、切り身として加熱調理され、食卓に辿り着く様を描写。姿形は変わっても、命を頂くということに変わりはない。世界は命の循環で成り立っている、というアイヌの教えを表現しました。
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Entry No.10
企画/永井貴浩(D)、荒井信洋(C)
「人間用の自然をつくることがエコなのだろうか。」アイヌの信仰・生活の生活の中に、理想的な自然との共生の形が見えてきました。 私たちのエコの矛盾点を攻撃的にコピーとビジュアルに落とし込み、問題提起を図りました。
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Entry No.11
企画/永井貴浩(D)、荒井信洋(C)
「この樹が、あと何年、森で生きていけたのだろう」未来を変える最初の一歩は、暮らしの中に自然の存在を見ること。その象徴として、人を支える椅子を用いました。
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Entry No.12
企画/山下隼太郎(AD)、高橋律仁(C)
「なにも無いとおもうか、すべて在るとおもうか。」世界の捉え方しだいで、豊かさや幸せを感じることができる。欲望を刺激する大量生産・大量消費社会に生きる人たちに向けて、そんな考え方を伝えようと思いました。
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Entry No.13
企画/斉藤迅(C)、原野賢太郎(AD)
「世界に誇る、もうひとつの「日本」の文化があります。」アイヌ文化は長い弾圧の時代を抜け、大きく羽ばたき始めたところだそうです。そんなアイヌを「現在、新たな文化や技術を生み続ける民族」として捉えました。
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Entry No.14
企画/斉藤迅(C)、原野賢太郎(AD)
「世界に誇る、もうひとつの「日本」の文化があります。」アイヌ文化は長い弾圧の時代を抜け、大きく羽ばたき始めたところだそうです。そんなアイヌを「現在、新たな文化や技術を生み続ける民族」として捉えました。
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Entry No.15
企画/石井克哉(C)、後藤大(D)
「現代人は、『捨てる』を捨てられるか。」「送り」は、役に立ったものを丁寧にカムイ(神)の世界に「送る」カムイの儀礼。「捨てる」のではなく「送る」。連なるゴミ箱は「捨てるという考え方を、捨てる」の象徴です。
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Entry No.16
企画/石井克哉(C)、後藤大(D)
「アイヌ人は、先住民で未来人。」「遠慮とともに」は、日本だけでなく世界へ伝えていくべき姿勢・考え方であると考えました。デザインモチーフは、アイヌの伝統的なデザインでありながら、未来をも創造させるビットマップ柄を採用しました。
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Entry No.17
企画/河西智彦(C)、山田浩司(AD)
「『自然』と生きる大人の、絵本。」アイヌの文化を「きちんと」伝えるためには、アイヌが語り継いできた口承物語を知ることが一番いいと考えました。
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Entry No.18表2決定企画
企画/河西智彦(C)、山田浩司(AD)
「先住民族でもあり、先進民族でもある。」人も動物も植物も、「自然」という神が決めた世界の中で絶妙なバランスで存在しています。アイヌの思想でもある「人も自然の中に組み込まれている」ことを木製のパズルをモチーフに表現しました。
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Entry No.19
企画/川辺圭(D)、審良聡太郎(C)
「アイヌのひとは、食べものを遺す。」「オリパック・トゥラ(遠慮とともに)」という精神で、自然と調和して生きるアイヌの人々の姿勢を、森のサラダボールのビジュアルで表現しました。
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Entry No.20
企画/川辺圭(D)、審良聡太郎(C)
「このくらい控えめです。」自然から最小限の食べ物しかとらない遠慮深い精神を、メタ的な視点を導入し広告自体を控えめにすることで表現しました。
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Entry No.21
企画/川辺圭(D)、審良聡太郎(C)
「I’nu Sorry」アイヌのひとの謙虚な姿勢を、「自然と生きる智恵を黙っていてごめんなさい」というメッセージで表現しました。
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Entry No.22
企画/髙野彩乃、小笠原健
「アイヌ目線になれば、自然とのつきあいかたが見えてくる。」アイヌの思想が表れた模様をよく見ると、隠れた自然を見つけることができるビジュアルで、それを表現しました。
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Entry No.23
企画/髙野彩乃、小笠原健
「人間のルールが、自然のルールを超えてはならない。アイヌの掟です。」ちょっとビックリするようなアイヌ独自のルール。自然を重んじる、自然と共生するという世界観がアイヌにはあるということを表現しました。
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Entry No.24
企画/髙野彩乃、小笠原健
「アイヌの人は、極寒の大地での生活を厳しい環境だと思っていない。」というコピーと、綿でつくられた北海道のビジュアルに、人間が自然に歩み寄っていく環境づくりにしたいという願いを込めました。
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Entry No.25誌面掲載企画
企画/丸田昌哉、小山淳子
「地球にとって、最先端の家です。」昔話に出てくるような、雪景色のなかにある茅葺の住居。オリエンで聞いた「チセ」という住宅のイメージを通して、アイヌを紹介したいと考えました。
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Entry No.26
企画/浦野ひろあき、前山かよ
「根こそぎ取ったら、人間が枯れる。」食べ物を根こそぎ取ってしまうと、ゆくゆくは自分たちの未来をも根絶やしにすることになる。そんなアイヌの教えを表現し、現代人の食べものや資源との関わり方に注意を呼びかけました。
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Entry No.27
企画/浦野ひろあき、前山かよ
「クマのしっぽは長かった。」アイヌの昔話「クマのしっぽの話」に込められた「慎み深く生きなさい」という教訓。そのエッセンスを、直に伝えるのも広告の表現方法のひとつではないかと考えました。
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Entry No.28
企画/浦野ひろあき、前山かよ
「アイヌ アム ア ジェントルマン」アイヌの教えに対する「非文明社会の古い教えだ」という不当なイメージを払拭するために、彼らの品格を魅力的に語りました。
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Entry No.29
企画/永松りょうこ(C+D)
「TRADITIONAL, BUT MODERN.」オリエンの際、秋辺さんが着ていた衣装を見て感じたことをそのまま表現しました。
広告の「切り口」
今回はオリエンシートを読まずに、エントリー作品と向き合ってみました。ひとつひとつの作品から、どんなオリエンがなされたのかを推測してみる、この方法は、研修などに使われることもあります。結果から原因を詮索するようなものです。思考の流れを逆探知するようなものです。オリエンが想像つくものを重点的に選び、最終的に7点ほどに絞りました。そこで初めてオリエンシートに目を通してみました。大方予想通りのオリエンシートでした。それはきちんとオリエンのテーマを掴んでいる作品が多かった、ということでもあります。それからもう一度エントリー作品を見直し、結局、最初に選んだものをやはり残していました。
切り口、という言い方をすることがあります。同じ素材でも切り方によって違った形、違った味わいになります。どこをどうやって切ると、一番おいしいものに出会えるか、それを見つけ出すのが切り口です。真ん中を切るのか、端っこを切るのか。タテに切るのか、ヨコに切るのか。時代で切るのか、人の気持ちで切るのか。いろんな切り口がある中、ナイフで切るというより鉈で切る、そんな大きな切り口を選んでみました。歴史と自然とがテーマの背景にあるからこそ、ある種のスケールにこだわってみました。