Vol.5 「放課後NPO」の広告をつくろう

広告 × NPO
毎号、「広告」誌上で博報堂のクリエイターからアイデアを募り、NPOの広告をつくるというシリーズ企画。エントリー企画のなかから、博報堂クリエイティブディレクター宗形英作、「広告」編集長永井一史が、一番すぐれたアイデアを選び、ブラッシュアップ後に本誌表2に掲載しています。
本誌ではスペースの都合で、エントリー企画のうち4作品しか掲載していませんが、ここでは全部をご紹介します。同じブリーフィングを受けても、制作者の考えによってさまざまなアプローチが可能になる広告の面白さを、どうぞお楽しみください。

子どもにとって、大人はみんな名作だ。

今回は、エントリーNo.2の企画が選ばれました。そしてブラッシュアップされたのが、こちらの広告です。

放課後NPOアフタースクール

Brief

「放課後NPO」の活動趣旨はとても明解だ。「子どもたちの放課後を豊かにする」ために、学校と大人や企業の間をつなぎ、大人たちを「市民先生」にした様々なプログラムを企画し、子どもたちに提供している。「かっこいい大人と出会うことで、早く大人になりたいなと思う子どもを増やしたいんです。老舗日本料理店の会長や、大工の棟梁、企業の方々など、この5年間で100人余りの方々にお願いしました。イベントではなく経験になるように、プログラムは3回を基本にしています。ホンモノの技や知恵を持つ大人を目の前にすると、すごみを感じるのか、子どもたちも自然とピシッとしますね(笑)。自分なりに何かに気づくというか、それまでの見方が変わるきっかけにもなるようです。和食プログラムに参加した少年は、その後、料理の道に進むことを考えているそうで、そんな話を聞いて喜んでいます。この広告で、『先生』の協力者が増えることを期待したいですね」(副代表理事 織畑研さん)

エントリー企画

  • Entry No.1

    Entry No.1

    企画/伊藤裕平(AD)、塩見勝義(C)

    自分だけの特技をもったかっこいい大人に出会うことが、子どもたちの成長にとって、刺激となりその経験が将来の夢につながる。そんな放課後NPOの活動を、さまざまな職種や年齢の「大人の背中」をずらっと並べることで表現しました。

  • Entry No.2表2決定企画

    Entry No.2

    企画/伊藤裕平(AD)、塩見勝義(C)

    放課後NPOの活動では、子どもたちはさまざまな大人に出会い、いろいろなことを体験することができます。その素敵な授業をずらっと並んだ「本棚」で表現しました。

  • Entry No.3

    Entry No.3

    企画/伊藤裕平(AD)、鈴木智也(C)

    放課後という時間にプログラムを開くからこそ、放課後NPOが子どもたちを何にもしばる事なく、のびのびと育てる事ができる、ということを、たんぽぽの綿毛がランドセルになっていて、大空へ自由に舞っていくビジュアルで表現しました。

  • Entry No.4

    Entry No.4

    企画/伊藤裕平(AD)、鈴木智也(C)

    子どもたちにとっては、出会う大人一人ひとりが、先生であるということを表現しました。また、日本に生きる大人たちへのメッセージにもなるような表現を目指しました。

  • Entry No.5

    Entry No.5

    企画/横尾美杉(D)、上條直人(C)

    夢を見つけると子供は自らすすんで学び始めます。学校や塾ではなかなか出会えない。人生の目標になれるような人々と出会うことで子供が成長する放課後プログラムのよさを伝えるための企画です。

  • Entry No.6

    Entry No.7

    企画/山田聡(C)、滝上愛子(D)

    家庭・学校に加わる第3の場所・時間として。家族・先生に加わる第3の力として。こどもを新しい地平に連れて行ってくれることが、放課後NPOのかっこよさ、ゆたかさの源であると考えました。

  • Entry No.7

    Entry No.8

    企画/矢後直規(D)、審良聡太郎(C)

    放課後に大人がやってきて授業をしてくれるという、プログラムの内容が、端的にかつチャーミングに伝わる表現を心がけました。

  • Entry No.8

    Entry No.9

    企画/富田克人(C)、アボット・マーク(AD)

    こどものときの夢は、大人との出会いのなかから生まれてるはずだ。そんな自身の体験に基づいた仮説から、「大人と子どもが放課後という場面でつながっている」ことを表現するビジュアルに仕上げました。

  • Entry No.9

    Entry No.10

    企画/富田克人(C)、アボット・マーク(AD)

    ゲームより面白く、塾より学びのある放課後。そんな放課後NPOのコンセプトをシンプルに表現しました。

  • Entry No.10

    Entry No.11

    企画/竹内佐織(D)、林 翔太(C)

  • Entry No.11

    Entry No.12

    企画/川嶋ななえ(D)、山形孝将(C)

  • Entry No.12

    Entry No.16

    企画/川嶋ななえ(D)、山形孝将(C)

  • Entry No.13

    Entry No.17

    企画/川嶋ななえ(D)、山形孝将(C)

  • Entry No.14

    Entry No.18

    企画/河西智彦(C)、東晃弘(AD)

  • Entry No.15

    Entry No.19

    企画/河西智彦(C)、東晃弘(AD)

  • Entry No.16

    Entry No.20

    企画/吉兼啓介(C)、永井貴浩(D)

講評

伝わるネーミングと伝える表現
 ネーミング、というのは非常に大事なものです。ネーミングで人はその存在を覚え、その存在を呼び、そしてその名前から連想するイメージをココロに刻みます。放課後NPO、というネーミングには周到なブランディングが行われています。「放課後」という言葉には、開放的な自由時間が始まるわくわくした気持ち、そしてひとりひとりにとって大切な時間、「未来の生き方」を考えたり「学生を卒業した暁」を想像したりする思いが内包されています。
 大人の話を聞く機会が少なくなった昨今、人生の大先輩と子供たちとの出会いを通して生まれる豊かな時間、そこには試験には出なけれど生きていくにはとても大きなテーマが隠されているかもしれません。ちょっと人生に迷った時に勇気を与えてくれる一言や知恵との出会いがあるかもしれません。
 今回掲載の作品は、図書室の本棚を素材にし、一見伝記本に見える本、実はそのタイトルが、子供たちの出会う先生たちのリストになっているという巧みなアイデアには、本に読み耽るように大人たちと生で接する喜び、なにかを学び取る感動を想起させる力があり、ネーミングに込められたイメージをきちんと伝えるシンプルな表現が大きな力となっていました。大人だって聞きに行きたくなる、そんな魅力的な仕上げになっています。

クリエイティブディレクター 宗形英作