広告 × NPO
毎号、「広告」誌上で博報堂のクリエイターからアイデアを募り、NPOの広告をつくるというシリーズ企画。エントリー企画のなかから、博報堂クリエイティブディレクター宗形英作、「広告」編集長永井一史が、一番すぐれたアイデアを選び、ブラッシュアップ後に本誌表2に掲載しています。
本誌ではスペースの都合で、エントリー企画のうち4作品しか掲載していませんが、ここでは全部をご紹介します。同じブリーフィングを受けても、制作者の考えによってさまざまなアプローチが可能になる広告の面白さを、どうぞお楽しみください。

Brief
NPO法人 自然スクール トエック
徳島のフリースクール「トエック」は、幼稚園児と小学生にあたる児童を対象にした「自由な学校」。田んぼと畑の中で、子どもも親もスタッフも一緒に育ち合う場として約20年前に誕生しました。そこにはいわゆる教室はありません。遊ぶことと学ぶことを分けていません。子どもが関心を持ったことに答えていくことに徹して、一緒に時間を過ごしています。「農園の土、火、水、風など、直接五感に感じることは原体験をもたらし、知性や感性を育てます。自分で発見したことは、ほんとうの力になります。人は、教えることも、育てることも、しつけることもできないと思うのです。子どもを学校に預けて任せきりにしない。ここはみんなでつくる学校です。ただ、自由であることはある意味きびしいことです。正解はない。大人こそ自分が問われるのです。誰もが外なる自然と、自分自身の内なる自然に気づいて、『自分』になれる場所でありたいと思います」(代表 伊勢達郎さん)
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Entry No.1
企画/伊藤裕平(AD)、塩見勝義(C)
暗中模索、試行錯誤しながら答えを探していく力が、いまの社会では必要とされていると思う。自然の中で、「手さぐり力」がついていく。この力を、遊びながら身につけていく子どもたちがうらやましい。
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Entry No.2
企画/伊藤裕平(AD)、塩見勝義(C)
「今日は、何したい?」他の学校と一番異なることを、端的に伝えようと心がけた。のびのびと育っていく子どもたちの健やかさが伝わればいいと思う。
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Entry No.3
企画/伊藤裕平(AD)、塩見勝義(C)
「うまくいかない」なんて壁も、遊び道具。「子どもたちはできないことに対して、めちゃめちゃタフになっていく」という伊勢さんの言葉をヒントにつくった。
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Entry No.4
企画/河西智彦(C)、山田浩司(AD)
「自然の中で自分を育てる。子も、その親も」トエックの思想を、ふたつのどろんこの白シャツに置き換えて、仲良く遊ぶ親子を表現した。
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Entry No.5
企画/河西智彦(C)、山田浩司(AD)
子ども自身、白い紙のようなもの。「子どもは、無限に広がる、無地のノートです。」自由に、自然の中で育てることが、子どもにとって一番大切であることをシンプルに表現した。
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Entry No.6
企画/山下隼太郎(AD)、高橋律仁(C)
「超現代っ子入門」。新書をモチーフに、現代の受動的な教育の中で暮らす子どもや親に対し、教育の意味を根本的に問うトエックの姿勢を表現した。
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Entry No.7誌面掲載企画
企画/石井克哉(C)、後藤大(D)
「この畑には天然の生徒が育っています。」自然の中で過ごすことで、学びたいという欲求を育てるというトエックの考え方を、畑という教室に立つ黒板とそこに書かれているメッセージで表現した。
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Entry No.8
企画/清水千春(AD)、志水雅子(CW)
「自然の中で、個性がひらく。」自然と向き合うことでひらいていく子どもたちの個性を、田んぼの水面にうつっている花で表現した。
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Entry No.9
企画/金そよん(C)、桑原秀平(AD)
子どもたちにとって「生活=学び」。子どもたちを囲むすべてが先生であり、スタッフも親も、すべてが生徒。「育ち合う」というトエックの教育と向き合う姿勢を「みんなが先生。みんなが生徒。」と表現することで、学びや学校教育とより柔軟に向き合えるのではないか。
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Entry No.10
企画/金そよん(C)、桑原秀平(AD)
「心の根っこが育つ学校。」トエックの教育は、詰め込み教育でも、ゆとり教育でもなく、自ら学ぶことで、主体性がはぐくまれていく。子どもたちが地にしっかりと根を下ろした木のように、未来に向かって育っていくだろうという思いと願いを込めた。
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Entry No.11
企画/山形孝将(C)、川嶋ななえ(D)
「子どもたちは、働くとき、いちばん学ぶ。」子どもたちの校舎は、田んぼと畑。働くこと、遊ぶこと、学ぶことは、子どもたちにとっては一つのこと。子どもたちがしなやかに成長するために必要なものは、ランドセルには入りきれない。それを表現した。
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Entry No.12
企画/山形孝将(C)、川嶋ななえ(D)
「おなかがすいたから、木登りしよう。」毎日のご飯を農園からつくることで、自然がくれる大切なものを、体で覚えていく。遊び、働く、学ぶというトエックの個性を表現した。
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Entry No.13
企画/山形孝将(C)、川嶋ななえ(D)
「みんな、100点!!」いろいろな結び方を覚えることで、いろいろなことができる。生きる力の根っこにあることを身につけた子どもたちを比べるのはもったいない。そんな思いを表現しました。
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Entry No.14
企画/山形孝将(C)、川嶋ななえ(D)
「あのころ、雨は邪魔なものなんかじゃなかった。」大人が忘れがちな気持ちを大切にするトエック。自然を受け入れて、感じる喜びを大切にしている様子を表現した。
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Entry No.15誌面掲載企画
企画/山形孝将(C)、川嶋ななえ(D)
「ナイフを使ったことのない子供が、ナイフで人を傷つけるんだと思う。」ときには傷をつくりながら、自然を相手にナイフを上手に使いこなし、おもちゃでも道具でも作品でも、何でも作り上げる子どもたち。彼らには、主体性を持つ責任と喜びがある。
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Entry No.16
企画/山形孝将(C)、川嶋ななえ(D)
「いつだって、無人島に行ける。」農作物を育てる、火を起こす、料理する、ナイフで道具をつくる、問題は話し合って解決する。自然のなかで人間が生きるために必要な、根っこの技術を持っている子どもたち。
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Entry No.17
企画/富田克人(C)、アボット・マーク(AD)
「みんなどうして同じになりたがるんだろう。」自然の中で試行錯誤を繰り返し、自発的な自分を育てあっていくトエック。人間に「型」なんていらないはず。
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Entry No.18
企画/富田克人(C)、アボット・マーク(AD)
「畑で育っているのは、花や草だけではありません。」大自然のなかで、大人も子どもも、草木のようにのびのびと育ちあい、生きた知恵を学ぶ。教わることと、学ぶことは違う。
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Entry No.19表2決定企画
企画/丸田昌哉(AD)、こやま淳子(C)
「いい子」とか「悪い子」という大人のおしつけ教育ではなく、自分自身になる。「この教室では、いい子は育たない。」トエックの哲学を伝えながら、自然の中で学ぶ学校であることを表現したいと思った。
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Entry No.20
企画/浦野紘彰(C)、前山佳代(D)
一人ひとりが自ら興味を持てるものを見つけていくトエック。「教科書は、一人ひとりが見つけます。」気になって目を向けたものが教科書になっているビジュアルを表現した。
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Entry No.21
企画/浦野紘彰(C)、前山佳代(D)
「どんな参考書よりも大切な教材。」与えられた教材ではなく、自然の中から学べるものを見つけ、それに向き合っていく。そんな主体性を大切にするトエックの取り組みを、「ランドセルの中にある」で表現した。
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Entry No.22誌面掲載企画
企画/関谷奈々(D)、佐藤恵子(C)
お米と一緒に、人間が育つ田んぼ。「この場所でいちばん育っているのは、たぶん人間です。」子どもと親、スタッフが、それぞれ心に何かを書きとめて育ち合っている様子を、広大な田んぼとノートの罫線に見立てた苗で表現した。
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Entry No.23
企画/関谷奈々(D)、佐藤恵子(C)
「5000坪の大教室。さてさて、今日はどんな授業がはじまるのかな?」広大な田んぼは、生徒とスタッフが通う「大きな教室」。そこでは、人間以外は、みな先生。田んぼや畑で出会うたくさんのものを「先生」と呼び、カラフルな図鑑のように楽しく表現した。
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Entry No.24
企画/関谷奈々(D)、佐藤恵子(C)
「聞いて!」「聞かせて!」いつものおしゃべりが、栄養です。一方通行のコミュニケーションではなく、双方向のやりとりで「話し合う」「育ち合う」のがトエック。その根本にある「会話」を糸電話に置き換えて表現。糸はそれぞれの方向に伸びながらも、しっかりとつながっている、一本の樹のように描いた。
音をカタチにした広告
一枚の写真、ひとつのビジュアルプランから、様々な音が聞こえてくることがあります。人がたくさんいるのに静寂を感じ、がらんとした空間にざわめきを感じることがあります。今回一等賞(本誌表2)に選んだ案は、見えない音をカタチにし、音がその世界の精神を如実に語る、ということを教えてくれました。
子供たちが暮らす世界は、音の宝庫です。飛んだり、跳ねたり、叫んだり、鉛筆を走らせたり、本を捲ったり。動きのある世界ほど、つまり、元気や自由な世界ほど音に満ちています。
今回のテーマであるトエックは、まさに音に満ちた学校です。子供たちの息遣いや肉体の動きとともに、風の音、水の音、虫の音、草の音、様々な音に包まれている学校です。トエックは、なぜ音に溢れた学校なのか、その答えがトエックの精神です。つまり、「いい子でも悪い子でもなく、自分になる」大人の考える枠の中に留まらない、その闊達さがトエックです。体験することによって自分になる、それは自分が音を発する主体になる、ということです。